2019年、真実の神羅 プレミアム・キリコ・ムーンは、GRクリーチャーと運命の邂逅を果たす。
1.前提知識
2.新章デュエル・マスターズ
3.双極篇
4.超天篇
5.そして十王篇へ…
1.前提知識
真実の神羅 プレミアム・キリコ・ムーンというカードを知らない人のために、カード画像を置いておきます。
見惚れるほど美しいイラストからおぞましいテキストしてんなお前な。
名前長いから以降キリコって呼びます。
要するに進化クリーチャーの上に更に進化する必要があって、出た時クリーチャーを入れ替えるよって能力です。
デザイン的にはウィニーをばら撒いて進化ではないファッティに変換する、といった感じのカードと思われるんですが、このカードを使う上でネックなことが大きく3つありまして。(テキスト読めばわかるとは思うんですけども)
一つは究極進化という地獄のようなシステム
クリーチャーを一度進化させた上で、更にもう一度進化する必要があるという目を疑うようなテキスト。
他の進化クリーチャー、例えばかのプレミアム殿堂カード、《聖鎧亜キング・アルカディアス》は出せばその時点で勝利が決まることもあれば、《プラチナ・ワルスラS》は出して攻撃してるだけで勝手に勝ってしまうことができるカード。
ですがキリコは進化クリーチャーを出して、(ターンを跨ぐなら)除去から守った後に改めてバトルゾーンに出す必要があります。書いてて悲しくなりますね。
2つ目は出した時点である程度クリーチャーをばら撒いておかないと能力をフルに発揮できないのに、ばら撒きやすいウィニーをデッキに入れすぎると踏み倒したいファッティがめくれにくくなるというジレンマを抱えている点。
例えば《異端流し オニカマス》や《デスマッチ・ビートル》で序盤の時間を稼ぎ、キリコを出したら《古代楽園 モアイランド》や《龍世界 ドラゴ大王》に変身してくれれば御の字なのですが、オニカマスがデスマッチに変身してしまうのが現実。
かといってウィニーの数を絞り、ファッティを増やすとキリコを出した時に入れ替えの弾の数を確保できない、なんてことになるのは目に見えています。
超次元呪文でサイキックのウィニーをばら撒くことでデッキ内のウィニーの比率を下げるなどの試みはされてきましたが、一つ目に挙げたウィークポイントと同時に解決することは難しく……
3つ目は例え何体かのファッティを踏み倒すことに成功しても、それが相手のデッキに対して「出せば勝ち」レベルのものでなければ効果は薄いということ。
現代のデュエル・マスターズに曝された皆様なら、ファンデッキに突然ちょっとしたデカブツを出されてもきっとデイヤーやバーンメアで軽く捻り潰してきたことと思います。
このような欠点を抱えたこの歌姫は、2013年、初代BBPで産声を上げましたが、リメイク前のプレミアム殿堂カード、エンペラー・キリコのカードパワーには遠く及ばず、多くのDMPからがっかりリメイクカードとしてカードプールの海の中に忘れ去られることになります。
2.新章デュエル・マスターズ
時は過ぎ、2017年。彼女の運命の歯車が、ようやく回り始めます。
新章デュエル・マスターズ始動。
オニカマスやデスマッチ、センノーなどのコスト踏み倒しメタが注目され、B・A・Dやラビリンス、裁きの紋章などの新能力も登場した本年。彼女に最も影響を与えた新システムは
NEO進化
でした。
キリコのテキストをもう一度確認しましょう。
何度見てもイラストだけは満点だぁ…
上でもちょろっと述べていますが、キリコムーンの能力で進化クリーチャーを出すことはできません。
しかしながらNEOクリーチャーはバトルゾーンに出す時にNEO進化することを選ぶまでは進化クリーチャーとして扱われないため、実質的にキリコの能力でバトルゾーンに出すことのできる進化クリーチャーとしての運用ができます。
これにより、今までは夢のまた夢であったループがまだ果てしなく厳しい条件ではありますが可能に。
これまでのキリコムーンは、その「進化クリーチャーを出すことはできない」という制約から、ループしたい、すなわちキリコで別のキリコにアクセスしたい場合、
踏み倒した非進化クリーチャーたちの能力で進化クリーチャーとキリコを出す
または
踏み倒した非進化クリーチャーの能力で進化クリーチャーを出し、その攻撃時能力でキリコを上に重ねる
といった極めて非現実的な手法を取る必要がありました。
故にキリコは私の知る限りループではなく、踏み倒した非進化クリーチャーでゲームを決めるといったデッキがほとんどでした。(そもそもの母数が少なすぎる?うーむ)
しかしNEOクリーチャーの登場で、
非進化クリーチャーとNEOクリーチャーを踏み倒してNEO進化させ、そのcipまたは攻撃時能力でキリコを出す
という方法で厳しい条件が揃えばループに近い動きも可能になったのです。
かといって、cipか攻撃時に究極進化であるキリコを踏み倒せるNEOクリーチャーなんて……
いました。
《グレート・グラスパー》。チェイングラスパーの核として環境にも顔を見せたこのカード、そちらのイメージが強過ぎて意外と知らない人もいるんじゃないかと思うのですが、踏み倒せる範囲は攻撃するNEOクリーチャーのパワー以下であれば他の条件は問うておらず、進化や自然文明ではないクリーチャーも出すことが可能です。肝心のパワーも狙ったかのようにキリコをわずかに上回る14000。
つまり出して攻撃するだけでマナゾーンからキリコがグラスパーの上に乗るという、今までの苦労が嘘のような事態に。
自身がキリコになることが可能で、キリコから呼び出すこともできる実質進化クリーチャー。
タカラトミーさん、このカードって実はキリコのために作ったんじゃ……
とはいえキリコを出すこと自体はかなり簡単になったものの、上で述べているように出すだけで勝てるというわけではないというのがこのキリコというカード。ループについても、
「キリコから別のキリコを呼ぶ」
ということはできても、
「呼ばれたキリコが更なるキリコを呼ぶ」
にまで至るのはかなり条件が厳しく、ループも可能ではあるが現実的ではない、といったレベルで、文字で説明するとなるとボリューム的にもそれに関してだけでもう一本別の記事を書く必要があるため、割愛…。(この頃のフィニッシュはシャコでした)
また、キリコの踏み倒しのためのウィニーの確保については何も改善されず、結局、私の中での新章デュエル・マスターズでのキリコの総評としては、面白い動きはできそうだがデッキになるにはもう何パーツか必要、といったところで落ち着きます。
3.双極篇
カードパワーの大幅なインフレが進んだ本年。ツインパクトカードが登場し、《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》や《龍装艦 チェンジザ/六奇怪の四〜土を割る逆瀧〜》、各種バラギアラ、また非ツインパクトカードとしても《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》や《“轟轟轟”ブランド》などが大暴れしましたね。
キリコ視点としても、クリーチャー面がファッティで、呪文面が初動やS・トリガーで受けとなるツインパクトカードが実装されれば、その恩恵を授かることができると喜んでいました。
が、ダメ…!上手い具合に噛み合うカード、生まれず…!
ナンバーナインとホーリー・スパークのツインパクトのようなものを期待していたのですが…
4.超天篇
2019年、真実の神羅 プレミアム・キリコ・ムーンは、GRクリーチャーと運命の邂逅を果たす。
質は低いけど低コストで馬鹿みたいに横に並びやすいGRクリーチャー。出した時に横に数さえ並んでおけばその質はどうでもよいというキリコ。GRクリーチャーはメインデッキから出てくるわけではないという性質も相まって、キリコのために生み出されたと言っても過言ではない、それほどの相性の良さです。(過言です)
最終的にはデュエル・マスターズを破壊したGRクリーチャー(マナドライブ)ですが、それは一旦置いといて、キリコ視点で超天篇をめぼしい動きのあった弾を追っていきます。(先に言っておくとほぼ全ての弾でめぼしい動きがありました)
DMRP-09 「超天篇第1弾 新世界ゾーンガチ誕! 超GRとオレガ・オーラ!!」
《*/零幻チュパカル/*》を始めとするオレガ・オーラは、あたかも通常のウィニーのように扱いながらデッキ内のクリーチャーとしては扱わないという性質を持ち、キリコのデッキパワーを大きく引き上げました。またGRクリーチャーそのものについても、この弾からすでに《ロッキー・ロック》という盤面を減らしにくいものも登場しており、相性の良さを見せつけます。
DMEX-05 「100%新世界! 超GRパック100」
目立ってキリコと相性の良い新規はありませんでしたが、《Dの牢閣 メメント守神宮》を採用するタイプだと《カブⅫ》が抜群の相性を見せてくれます。
DMRP-10 「超天篇第2弾 青きC.A.P.と漆黒の大卍罪」
環境でもちらほら見られた《♪奏でよグローリー》は、トリガーすれば時間を稼ぎながら横に二体のクリーチャーが並ぶというシナジーを形成します。先述のカブⅫが出れば、そのターン12000のブロッカーが立ち塞がります。(弱そう)
他には、盤面を増やしながら一気にグラスパー召喚までマナをジャンプアップできる《たすけてレスきゅん》が登場。詳しくは後述しますが、グラスパーがマナに落ちてしまうという可能性はあるものの、そのデメリットを差し引いても使用したいカードです。
余談ですが《白皇鎧の意志 ベアスケス》のおかげで《光霊姫アレフティナ》でもフィニッシュが可能になり、後に登場した《マリゴルドⅢ》のおかげでフィニッシュはそちらへ移行することになります。
DMRP-11 「超天篇 第3弾 零誕! 魔神おこせジョルネード1059!!」
環境的に見てもバグの塊みたいなこの弾。キリコにとってもそれは変わりません。
一枚が二枚になる《*/弐幻ポコピー/*》、圧倒的除去耐性を誇る《白皇世の意志 御嶺》、場に出ても離れても横に並ぶ《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》、雑に横に並ぶ《続召の意志 マーチス》、ご存知《マリゴルドⅢ》など挙げれば枚挙に暇がありませんが、ずば抜けてキリコと相性が良かったのは、《*/弐幻サンドロニア/*》でした。
上で割愛していますループは、入る時に手札にグラスパーが一枚、山札に二枚以上必要という、グラスパーを引きすぎても引かなさすぎても、果てにはマナに落ちたりしてもダメというものでして。(なのでプロジューサーも相当な親和性を見せてくれます。)
マナ落ちはフェアリーライフ等の無作為マナブーストを不採用とすれば解決できる問題であるため、引きすぎてしまったグラスパーをスマートな方法で山に返す手段に困窮していたのですが、まさかのオレガ・オーラにそれがきてくれるという信じられない事態に。タカラトミーさん、まさかサンドロニアはキリコのために刷ってくれたんですか…?
DMRP-12 「超天篇 第4弾 超超超天! 覚醒ジョギラゴンvs.零龍卍誕」
ギガ・オレガ・オーラが登場。そのテキスト、ポコピーが見たらどう思うでしょうか…?
余計なドロー効果などを持たず色も合う最軽量の《γγ モンキュウタ》は即採用できるスペックでした。
自壊サイクルは数が減るため相性が悪く、残念ながら全て不採用に。
マイナーなカードではありますが、《oθ チェスナッツ》というマナブーストにもマナ回収にも利用できるオレガ・オーラが登場。マナブーストのモードは手札からのブーストのためグラスパーのマナ落ちを気にせず使用でき、マナ回収のモードはたすけてレスきゅんでマナに落ちてしまったグラスパーを回収できます。
DMEX-08 「謎のブラックボックスパック」
2020年、「真実の神羅 プレミアム・キリコ・ムーン」という名の歌姫は、一人の「王子」と出会った。
NEOともGRとも相性がいいって言ってたら伏せ持つカードがきました。オリカかな?なんなら自然なのでグラスパーに進化することもできます。やっぱりオリカかな??
キリコからグラスパーが二枚ちゃんと捲れたけど進化元一枚しか用意できなかったよ〜って時は今までだとループ失敗してたんですが、プロジューサー等からこいつが出てきてNEO進化すると二枚のグラスパーの効果で通常のループルートの通りにキリコが二体並びます。やべえ!
金でも払ったのかってほどに大量の強化を貰い、初期と比べると信じられないくらい強いデッキ(強いとは言ってない)になり、赤白GRビートには有利がつく程度のスペックにまで高まりました。すごい!デイヤーとバーンメア?1000試合やれば1勝できるかな?
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上で述べてきたものが2020年3月27日、これが私の知るキリコの(おおよそ)全てです。
割愛したループの方法は、要望があれば別の記事にしようと思います。(ない)
5.そして十王篇へ…
対あり裏キリコ
完。